2006年04月22日

秀吉の枷

秀吉の枷 (上) 「秀吉の枷」を読みました。
前作「信長の棺」を読んだ方には「枷」が何のことか分かるのですが、それを知りながら、その時に向けて読み進めるのは楽しかったです。上下巻で740ページを一気に読んでしまいました。

上巻は秀吉が権力を奪取する過程がテンポ良く記述されていて楽しく読めました。
夭折した軍師、竹中半兵衛の励ましを抱いて、崇拝と恐怖の対象であった信長を超えようとする箇所は、読んでいて爽快でした。

ところが、後半「枷」にはまった秀吉が生彩を欠いていくのは読んでいて辛かったです。
どうしようもなく避けがたい宿命の中で、精いっぱい足掻く秀吉は、これまで読んだことがない秀吉像が提示されて新鮮でしたね。

週刊文春に載っていた作者インタビューによれば、本作は信長の遺体をめぐる3部作の第2部であり、最終作は明智左馬助だそうです。
本作でも左馬助の辞世の詩として五言律詩が上げられています。

一戦国中生 未知風月情
朝出師望魁 夕地策運営
依几臥竜術 横鉾千里行
幾英明如夢 終節帰清明

ナカナカ味がありますね。自作が楽しみです。

投稿者 isi : 2006年04月22日 23:48
コメント

2作とも読んでいませんが、それほど面白いのなら読んでみようかな。
信長、秀吉、家康の時代が人気が高いのは色々な要因があるのでしょうが、やはり彼らの存在が現代にまで大きく影響しているからでしょうね。
信長が本能寺で倒れていなければ、日本はポルトガルやスペインあるいは英国のようになっていたかもしれないし、秀吉が長生きして、かつ国内統治と外征をもっと上手くできていれば鎖国のような状態にはならなかったかもしれない。
「たら・れば」がいくらでも沸いてきます。

Posted by: 阿佐ヶ谷 : 2006年04月23日 07:10

うん。作者の「本能寺の変」についての推測が全ての作品だね。
「信長の棺」が小説としてのデビューなので、荒削りの面はあるが、太田牛一を最初の主人公に持ってきた辺りが面白い。
作者が自分を投影している面があるのではないかと思う。
信長、秀吉、家康の時代には秀作が多いが、個人的に好きなのは「影武者徳川家康」かな。

Posted by: isi : 2006年04月24日 02:50

「信長の棺」と「秀吉の枷」を読みました。文章で読ませるというよりも話の筋で読ませる作品ですね。この点は「ダヴィンチコード」に似ている。
歴史ミステリーといってもそれはないだろう、と突っ込みを入れたくなる箇所*もありましたが、面白かったです。
秀次の乱心は淀殿の陰謀というのはあり得るかもね。
秀吉が天皇の弟を後継者にしようと画策したのが本当かどうか知らないけど、もし実現していたら徳川幕府はなかったかも。

*桶狭間の勝利が秀吉の作戦であれば、秀吉は信長の死後に自分の手柄であったと自慢するはず。家康が秀吉側の秘密を全て知っているのなら、それを公表して秀吉の天下盗りを妨害したに違いない。

Posted by: 阿佐ヶ谷 : 2006年05月07日 22:43

ちょ、ネタバレwwww
秀吉の人間くささは良かったよ。
結局、衆に秀でた者は毀誉褒貶の対象としかならないのだなと思うと、
遣り切れないものを感じてしまう。
歴史上、不可解な行動をした局面は多々あるが、(秀吉の中国大返しなど)
なんらかの補助線を引くと、収まりが良い史実もある。
あそこまで鮮やかにやられると、何かしら裏事情があったのだろうと邪推するのはしょうがないのかな。

Posted by: isi : 2006年05月10日 00:38
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