2005年10月08日

絵のない絵本

絵のない絵本 児童文学を確立したアンデルセンの「絵のない絵本」を読みました。
月が見聞きしたことを貧しい絵描きが一夜ずつ聴いていくというショートショート形式の創作で33夜分あります。
タイトルの通り挿絵はありませんが「絵本」と銘打っている通り、視覚化を強く働きかけます。

「さあ、わたしの話すことを、絵におかきなさい」と、月は、はじめてたずねてきた晩に、言いました。「そうすれば、きっと、とてもきれいな絵本ができますよ」
....
「わたしは、インドの澄みきった空気の中をすべって、ガンジス河にわたしの姿をうつしていました。わたしの光は、古いプラタナスの葉が、ちょうどカメの甲のように盛りあがって、茂っている生垣の中に、さしこもうとしていました。...」
ほほえましい幼児の話や考えさせられる話もありますが、悲しい切ない話が多いです。

中でも第十六夜がいちばん良かったです。
滑稽な喜劇役者が美しい女優に恋し仲良くなりますが、女優は楽しい友達としか見ていません。
女優は別の役者と結婚するのですが、若くして急死してしまいます。夫である役者は周囲の同情を受けて劇場を休むことを許されますが、喜劇役者は欠員を埋めるために一段と滑稽な演技をするように要求されます。
そのため、プルチネッラはいつもの二倍もおかしく振舞わなければならなかったのです。プルチネッラは心に絶望を感じながらも、踊ったり跳ねたりしました。そして拍手喝采を受けました。
可哀想なプルチネッラ。愛した女性が死んだ葬式の日に、喜劇役者として観客の笑いを取らないといけないのです。どれほどの絶望があったことでしょう。

児童文学は3つに分けることができるそうです。

  1. 教訓話(寓話)
    イソップ「アリとキリギリス」など
  2. 昔話(説話)
    グリム兄弟「白雪姫」「ヘンデルとグレーテル」など
  3. 童話(創作)
    アンデルセン「マッチ売りの少女」など
中でも文学としてのレベルが高いのは童話だそうです。
食わず嫌いではなく一読しても良いでしょう。意外とはまるかも知れません。

投稿者 isi : 2005年10月08日 21:57 | トラックバック
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