2004年08月22日

企業システム開発の現状と課題(1)

先月、某所で「企業システム開発の現状と課題」と題して講義する機会がありました。
公開できない内容はカットして、抜粋を挙げてみます。
えーと参考になるのはウレシイのですが、どこかで引用されたりすることがあれば、ご連絡ください。

【日本の企業システムの特徴】

  • 投資は大都市圏に集中
    investment.gif 首都圏と関西、東海の大都市圏で日本の情報化投資の8割を占めている。 ちなみに新潟県は首都圏の1%程度、つまり全国の0.5%程度でしかない。
    これをマーケットが未開拓であると見るか、需要がないと捉えるかは意見が分かれるところである。
    しかし、現場のシステム開発を担当している私の感触では、積極的に情報化に投資しようする企業が少ないように感じる。
    地方に本社がある企業では、それなりのシステムを組んでいるのだが、システム化予算を低く抑えようとする傾向が強い。
    参照:日本政策投資銀行 地域政策研究センター2002・2003 年度地域別設備投資計画調査


  • ベンダーも大都市圏に集中している
    vender.gif システム構築サービスを提供するベンダーも大都市圏に集中している。
    しかしそれでは需要に追いつかないため、地方のシステム構築会社から大都市圏へ出張、常駐してシステム化需要に応えている。
    総務省統計局平成11年サービス業基本調査結果一覧より
  • 受注ソフトウェアがビジネスの中心
    category.gif 日本固有のシステム化投資の傾向として、受注ソフトウェアが全体の50%を占めるということである。
    欧米の場合、業務アプリケーションパッケージを使用することが多い。
    日本の場合、企業が自社独自の業務ルールに拘ることが多く、画面、帳表などのアウトプットも複雑である。
    時には、要求仕様が厳しすぎて、システム構築に当たっての生産性を大きく損なっていることもある。
    情報処理サービス産業協会「わが国の情報サービス産業」より

RFIDハンドブック―非接触ICカードの原理と応用
【最近のトレンド】
企業業務の情報化はひと段落しているように見えるが、企業による管理レベルの格差は大きい。
きちんと原価管理ができていないメーカーやエクセルベースで管理している企業などもあり、まだまだやるべきことは多くあり、投資環境が大きく変動しない限り、システム需要が枯渇することはない。
特に近年は、端から見ていてもビジネスの速度にシステム構築や改変がついていっていないことがある。
顧客企業でも多品種少量化に加えて、ビジネススピードの向上に伴い、短納期化が進んでいる。
企業買収や合併、部門売却などビジネス環境が大きく変わるケースもあるが、それに既存のシステムが対応できていない。

最近のシステム構築のキーワードとしては、以下のように挙げられる。
  • アカウンタビリティ
    間接工数の明確化など、従来管理してこなかったデータを明確にするシステム化要求がある。
  • トレーサビリティ
    グリーン調達やPL法への対応に伴い、製造工程のデータ収集などのシステムが構築される例がある。
    また、ビジネスのグローバル化によって、日本国内の管理レベルでなく、アメリカ国内と同様の管理レベルが必要となる場合もある。
  • セキュリティ
    外部からの侵入防止はもちろんのこと、内部からの情報漏洩についても管理するよう社会的な要求がある。
    2005年4月より施行される個人情報保護法も対応する必要がある。
    それらの要求を充足するため、セキュリティビジネスのマーケットが拡大している。

【今後の見通し】
近い将来の見通しとしては、以下のように予測する。まったくの私見なので、鵜呑みにしないようにご注意。

■ソフトウェアプロダクトのコモデティ(日用品)化
デジタルデバイドとは何か―コンセンサス・コミュニティをめざして
OS、データベース、オフィスソフトなどソフトウェアプロダクトのコモデティ化の流れは止められない。
またオープンソースプロダクトの普及に伴って、システム構築に必要なプロダクトコストが激減する。
それにより、従来のビジネスモデルの崩壊が起こることになり、近い将来に大きな変動を予想する。
また、コンピュータを活用できるクラスでは、コンピュータの普及に伴って、情報リテラシが向上していく。
さらに電子認証など社会基盤の情報化が一層の進展をしていき、利便性を享受できるクラスとできないクラスとで、情報格差(デジタルデバイド)が拡大していく。


■分散と集中を繰り返してきたシステムトレンドは今後「分散」へ進む
応用Web技術
これまでコンピュータシステムは、以下のように変化してきた。
  1. データセンターでのバッチ処理
  2. オフコンによる分散処理
  3. 汎用機による集中処理
  4. クライアントサーバーによる分散処理
  5. WEBシステムによる集中処理
この順で行くと、次は「分散」がキーワードになると想定するが、最近ではWEBフォームの使い勝手の悪さからリッチクライアントが話題になっており、今のところ次の技術トレンドの最有力だが、まだこなれてきておらず、決定ではない。

企業システム開発の現状と課題(2)へ続く

投稿者 isi : 2004年08月22日 23:20 | トラックバック
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